社会技術研究開発事業 2023年度提案募集開始のお知らせ 国立研究開発法人 科学技術振興機構 社会技術研究開発センター

【応募期間】

2023年4月6日~2023年6月7日

【助成対象・内容】

社会技術研究開発事業の概要

国立研究開発法人科学技術振興機構(以下、JST という)社会技術研究開発センター(以下、 「RISTEX」という)は、社会の具体的な問題の解決を通して、新たな社会的・公共的価値の創出 を目指します。社会の問題解決に取り組む関与者と実施者が協働するためのネットワークを構築し、 競争的環境下で自然科学と人文・社会科学の知識を活用した研究開発を推進して、現実社会の具体 的な問題解決に資する成果を得るとともに、得られた成果の社会への活用・展開を図ります。 社会技術研究開発事業(以下、本事業という)は、RISTEX 等において社会の問題解決に重要と 考えられる研究開発領域・プログラム(以下、領域・プログラムという)を設定して提案を募集し、 選定された研究開発プロジェクト(以下、プロジェクトという)を推進するものです。領域・プロ グラムのマネジメントは、アドバイザーの協力を得て、総括が行います。研究代表者及び研究開発 実施者(以下、実施者という)は、総括のマネジメントのもと、自ら所属する機関等において研究 開発を推進します。 なお、本事業は、内閣府ウェブサイト(https://www8.cao.go.jp/cstp/compefund/index.html) に掲載している競争的研究費制度一覧の事業名に該当します。

 

研究開発プログラムの概要

プログラム目標

本プログラムは、科学技術が人や社会と調和しながら持続的に新たな価値を創出する社会の実現 を目指し、倫理的・法制度的・社会的課題を発見・予見しながら、責任ある研究・イノベーション を進めるための実践的協業モデルの開発を推進します。

研究開発対象

本プログラムは、責任ある研究・イノベーションの営みの普及・定着に資する、実践的協業モデ ルの創出に向けた ELSI/RRI の研究開発を対象とします。具体的には、科学技術の進展の先にあるべき社会像や、人間・社会にもたらす新たな価値や変化の「探索と予見」、それに伴って生じるリス クやベネフィット、インパクトの「分析と評価」、人間・社会・倫理の観点に立った研究開発の「設 計とガバナンス」、そして、責任ある研究・イノベーションの推進に資する「科学技術コミュニケー ションの高度化」に取り組む研究開発を推進します。 本プログラムでは、日本社会が抱える課題、あるいは具体的な新興科学技術を出発点としつつ、 国際的な展開・発信を念頭に置いて取り組むことを重視します。このとき、日本の社会や文化、歴 史の特性も意識した視点で考えることが大切です。日本社会の文脈や、日本の事例が持つ一般性・ 特殊性について考察を深めることで、改めて科学技術と人・社会との最適な適応方策の発見や、グ ローバルに通用する新しい価値創造につながることを期待します。従って、海外の研究や事例の単 なる紹介や理論の適用に終わらないことを求めます。 研究開発プロジェクトにおいては、具体的な科学技術の ELSI 対応への取り組みを基盤とした研 究構想であることを重視します。対象とする新興科学技術の研究開発や事象について、すでに ELSI が顕在化し事後的(ex-Post)だが解決のインパクトが大きなもの、研究開発の初期段階から予見 的(ex-Ante)に ELSI 検討に取り組むべきもの、すでに社会実装が進んでいる科学技術だが ELSI 検討が急務なものなど、具体的な課題設定を求めます。なお、本プログラムは、ELSI/RRI の営みの基盤強化や普及・定着に資する研究開発も重視しています。例えば、新興科学技術と社会との関わりに関する国際比較調査や動向分析などを通じて理 論構築に取り組む研究開発、ELSI/RRI の人材発掘やネットワーク構築に取り組む研究開発、多様 な新興科学技術に適用しうる ELSI/RRI の方法論や評価指標の研究開発なども想定します。これら の研究は、必ずしも総合的なチーム体制や実践的な取り組みを必要とせず、実施期間や予算など比 較的小規模なプロジェクト構想も想定されます。

期待されるアウトプットの例は、以下 a~c のとおりです。

a. ELSI への具体的な対応方策の創出

– ELSI 観点でのリスク・ベネフィット、インパクトなどの分析・評価

– 新たな価値を提供するビジネスデザインや、知財・標準化戦略の提案

– 法規制などのレギュレーション、認証・標準化などの枠組みや、保険・補償などの経済的 手法も含めたルール形成への提言

– さまざまな社会・環境下での、研究開発の設計指針や境界条件、行動規範(CoC)の提案

– リスクガバナンスのための評価指標や指針、共通認識となりうるガイドラインの提案

b. 共創の仕組みや方法論の開発

・ 研究開発の上流段階から、科学技術が人や社会に与える影響や倫理的・法制度的課題を、 研究現場に機動的・有機的にフィードバックするための仕組みや方法論の開発 – 科学技術の先にあるべき社会像、取り巻く問題構造や課題群、関わるステークホルダーの 探索・予見・分析

– 共創的科学技術イノベーションのための対話設計・コーディネーション手法

– 上流からのステークホルダーとの共創手法やテクノロジーアセスメントなどの機能

・ 科学技術コミュニケーションの機能とデザインの高度化のための実証的検証と開発 – 多様な立場のステークホルダー間における、科学技術やリスクの知識翻訳手法

– 多様な視点の存在を意識した、建設的な議論の成立や収斂の対話・調整手法

・ 情報通信技術など新たな科学技術を活用した、科学技術コミュニケーションの高度化に 資するシステム、ツール、評価方法・指標の開発

c. トランスサイエンス問題の事例分析とアーカイブに基づく将来への提言

・ 日本や世界が直面した過去及び現在の顕著なトランスサイエンス問題に関する事例分析と課 題の抽出、アーカイブ化に基づく、将来への提言と海外に向けた発信

※科学技術の ELSI への取り組みを基礎づけ、展開するために参照すべき、科学技術と人・社 会との関係に関わる重要な問題とみなせるもの、とくに、人の命に関わるような社会的イ ンパクトの大きな問題も対象とします(例えば、COVID-19 をはじめとする新興感染症に 関わる問題、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故なども含みます)。

なお、共創的科学技術イノベーションの実践や方法論開発に焦点をあてた「b. 共創の仕組みや 第 3 章 研究開発プログラムの概要 18 方法論の開発」については、対象とする科学技術や ELSI の特性を踏まえ、「a. ELSI への具体的な 対応方策の創出」と一体的に取り組むことが望まれます。また、ELSI への取り組みを基礎づけるために、「c. トランスサイエンス問題の事例分析とアーカイブに基づく将来への提言」に取り組む提 案も歓迎します。

もちろん、研究構想の内容に応じて、ここに挙げていないアウトプットの提案も十分想定されます。a. ~ c.の研究開発要素にどのように取り組むのかに応じて、研究開発期間や予算規模、実施体 制なども柔軟に構想・設計し、提案してください。 ELSI/RRI への取り組みは、科学技術がもたらす課題に対する「いま、ここ」での対応や順応の 方策検討にとどまりません。世代や空間を超えた影響の検討はもちろん、人類が求める普遍的な価 値、生命や人・社会のよきあり方に関わる「根源的問い」(例えば、ガバナンス、リスクと安全・安 心、公(パブリック)と私/官と民/集団と個人の関係、自律性、信頼と責任、競争と調和、効率と 公正、社会正義、世代間の差違と公平性、物質と精神、自然観、尊厳・人権主体性・アイデンティ ティなど)を必然的に内包するものです。 本プログラムでは、このような「根源的問い」への探求・考察を含みながら、研究・イノベーシ ョンの先に見据える社会像を示すことを、すべてのプロジェクトにおいて必須に取り組む課題として求めます。研究開発を通じて、日本社会の特性を踏まえながらグローバル社会においても普遍性 を持つ価値についての考察がなされることも期待します。

研究開発の実施体制、アプローチについての留意事項

・ 国内の大学、研究機関、公益法人、民間企業、NPO・NGO、行政機関など、組織として JST か らの研究委託が可能な主体が連携して研究開発を実施します。

Ÿ 研究開発の実施にあたっては、問題意識や課題を共有する研究開発の現場やステークホルダー、 コミュニティとの具体的な連携や協働の下に取り組むことを原則とします。ステークホルダー には、人文・社会科学研究者、自然科学研究者、企業、NPO・NGO、メディア、URA、コミュ ニケーター、法曹、行政、地域社会などが想定されます。これまで、人文・社会科学を中心と して ELSI/RRI に関する先駆的な研究開発や取り組みがなされてきており、本プログラムは、 それらの知見の活用や人材の活躍を基盤としつつ、自然科学や産業における研究開発現場との 連動・接続にチャレンジする提案を期待します。

Ÿ ただし、ELSI/RRI の営みの基盤強化や普及・定着に資する研究開発にあたっては、必ずしも現場やステークホルダー、コミュニティとの具体的な連携や協働の下に取り組むという原則を適用しません。連携や協働の有無にかかわらず、優れた提案を採択します。

・ 本プログラムは、個別テクノロジーの研究開発そのものの支援ではなく、その責任ある遂行を 支援するための研究を目的としています。従って、現在推進中の他の既存研究開発事業やプロ グラムとの連携・接続を含めた提案も歓迎します。

・ 研究対象、研究の手法や前提条件、技術開発におけるデザインなど、研究開発のあらゆる側面においてジェンダーをはじめダイバーシティの視点に配慮することとします。

・ 「研究開発の推進」、「ビジネス創出の志向」及び「人間や社会の変化とニーズを捉え続ける柔 軟性」をもって、スピーディな成果の還元と発信を重視します。

・ 研究開発の企画・実施にあたっては、RRI の視点を重視します。すなわち、先見性(Anticipatory)、 省察性(Reflective)、熟議牲・包摂性(Deliberative, Inclusive)、応答可能性(Responsive) のアプローチを組み込むことが重要です。

・ 本プログラムは、研究開発の実践を通じて、ELSI/RRI のスキルや所作を身につけた産学官民 の多様な人材の輩出を目指しています。そのため、20~40 代の若手人材のプロジェクト参画 や雇用を歓迎します。プロジェクトで研究人材を雇用する場合には、研究代表者にはその育成 計画(本質的に必要と考えるスキル・能力や、その経験を積むために工夫する活動、本プログラムで獲得したスキルを継続的に利活用できる場の想定など)の提案を求めます。

【助成金額】

本プログラムでは、研究開発テーマの特性や社会ニーズなどに応じた柔軟性・機動性を持った ファンディングを行う観点から、提案内容に応じて、予算規模や期間を柔軟に設定します。 そのため、通常の研究開発プロジェクトに加え、例えば、①取り組むべき ELSI の具体化検討や 論点整理を集中的に行い研究開発計画の充実化を図る、②必要な研究分野やステークホルダーの模 索や連携を行い十全な研究実施体制を構築する、などについて取り組むプロジェクト企画調査の枠組みも設定します。

■研究開発プロジェクト

・研究開発期間: 1~3年6ヵ月※

・研究開発 費: 600~1,200 万円/年(直接経費)程度※

※研究開発期間の設定は、12 ヵ月(2023 年 9 月迄)~42 ヵ月(2026 年 3 月迄)です。

※研究開発内容に応じて、研究開発期間や予算規模を柔軟に構想・設計し、提案してください。

※研究開発成果の定着や展開の可能性のさらなる向上が期待される場合、評価を経て、2 年間 を上限として期間延長を可能とする枠組みの適用も予定しています。

■プロジェクト企画調査※

・企画調査期間: 6ヵ月(単年度)

・企画調査 費: 150~300 万円/半年(直接経費)程度

※プロジェクト企画調査は、独立した調査・研究活動そのものを目的とするものではありません。 将来的に本プログラムへの研究開発プロジェクトの提案・実施につながることが期待され、その ために必要な研究開発設計の仮説検証や実施体制の補完などに取り組むことを企図した枠組みです。従って、原則として本プログラムの次回公募に応募することを条件とします。その際には、他の提案と同様に選考を行い、優先的な取り扱いはありません。

応募要件

応募時に研究倫理教育に関するプログラムを修了していることが必須です。 修了していることが確認できない場合は、応募要件不備とみなしますのでご注意ください。 応募時は研究代表者のみで構いません。

プロジェクトの研究代表者となる方に自ら提案していただきます。応募の要件は以下のとおりで す。予めご承知おきください。 ※採択までに応募要件を満たさないことが判明した場合、原則として、研究提案書の不受理、 ないし不採択とします。 ※応募要件は、採択された場合、当該研究開発プロジェクトの全実施期間中、維持される必要が あります。実施期間の途上で要件が満たされなくなった場合、原則として当該研究開発プロジェクトの全体ないし一部を中止(早期終了)します。

 

【応募方法】

提案は、府省共通研究開発管理システム(e-Rad)により行っていただきます。 紙媒体(郵送、宅配便、持ち込みなど)及び電子メールによる応募受け付けはできません。

 

【問合せ】

お問い合わせは電子メールでお願いします。

RISTEX 2023 年度 提案募集ウェブページ https://www.jst.go.jp/ristex/proposal/proposal_2023.html

に最新の情報を掲載しますので、必ず確認してください。

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

社会技術研究開発センター(RISTEX) 企画運営室 募集担当

〒102-8666 東京都千代田区四番町 5-3 サイエンスプラザ

■社会技術研究開発事業全般の応募に関するお問い合わせ:boshu@jst.go.jp

■本プログラムへの応募に関するお問い合わせ:boshu-elsi@jst.go.jp

【e-Radの操作方法に関するお問い合わせ先】

e-Rad ヘルプデスク https://www.e-rad.go.jp/contact.html

Tel. 0570-057-060(ナビダイヤル)9:00~18:00

※土曜日、日曜日、祝日、年末年始を除く

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